Think global, Act local

 

 私ごとだが今月頭に昨今のリモートワークの恩恵もあり、生活拠点を長野に移した。以前収録したquiet radioでもそういった話題に触れていたかもしれないが、生まれた場所が長野ということもあり(その後の育ちはずっと東京だったのだが)、はじまりの場所に戻った形になる。昨今の世情が後押ししてくれた形ではあるが、この移住の計画は2年前くらいからぼんやりと始まっていて、この2年間の間にマガジンa quiet dayの取材なども含めると10回以上は長野県内を旅し、様々な人たちのご縁や出会いも相まって無事移住をすることに踏み切れた。

 住み始めてまだ日が浅いけれど、日中と夜間の気温差がとても激しく朝起きると窓に出来た結露が凍って氷が出来ているのをガリガリと溶かす日常は、東京ではほぼ体験できない朝の習慣として定着している。こういった東京との違いというのは日常の習慣だけではなく、特に日々口にする食べ物をとってみても顕著なことに思う。東京にいた頃から、長野の農家さんからの宅配サービスを利用していたので、長野の野菜は食べ慣れてはいたのだが、実際にスーパーや直売所で目にする食材の新鮮さや東京ではあまり見かけない野菜に驚きを隠せず、ついつい興味本位で買い過ぎてしまう。もちろんこういった野菜などは東京で探せば見つかるのだが、長野−東京間の輸送料やその間の鮮度の低下などを考えてみると全く別物として考えてもいいのではないだろうか。

 

 

 昨今の“サステイナブル”という言葉が市民権を得たことで「地産地消」という言葉が改めて見直されてきている。生活消費財ならともかく、食材などは鮮度のことなども考えると特にその土地で作り、その土地で食べられることが、それらに携わる人たちの関係性をより良いものにし、循環させてくれるのかもしれない。もちろんローカルだけでの需要になるので、大都市向けに生産していた時に比べて供給量は下げざるを得ないかもしれない。けれど、そもそも今までのように暗黙の前提になっている消費地と生産地が分かれた産業構造をもう一度考え直してみる時期に差し掛かっているのではないだろうか。

 

 

 以前読んだ都市研究家・ジェインジェイコブスの著書「発展する地域 衰退する地域」でも生産地と消費地が分かれてしまうことについて、どちらかの場所が衰退した場合、共倒れしてしまうことについて警鐘を鳴らしていた。どんな物事においても持続的で発展的な関係性、そして本質的な価値をどう作り上げられるかという命題をこれからの生産者と消費者は考えていかなくてはいけないように感じられる。

 

 

 こういった取り組みを世界に先駆けて考えてきたのが、マガジンa quiet dayがメインにフォーカスを当てている北欧という土地にあるのかもしれない。先に話題に挙げている飲食の分野に限らず、ファッションやインテリアデザインの分野でもどのように消費していくべきか、そして生産者の負担にならず、どのようにクオリティの高いモノを作っていくべきなのかということが常に議論の的になっている印象だ。

 マガジンa quiet dayでフォーカスを当てているProlog Coffee BarSOULLANDのサステイナブルペーパーはとても読み応えがあり、自分の身の回りのことと照らし合わせてみると、一読した後は見えている世界が変わっている、もしくは何かアクションを起こして変えていかなくてはいけないのだろうと襟を正したくなる気持ちになる。このSOULLANDCEOCo-founderJacob Kampp Berlinerが以前マガジンa quiet dayに寄稿してくれたコラムに「Think global, Act local」という言葉を書いてくれた。自分自身の生活環境が変わってきた今、改めて考えていきたい言葉の一つだ。

 

 

こちらのコラムは2021年2月13日に配信されたニュースレターの内容の再編集版です。


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