Mentality of Bornholm - Episode 5 - Work togetherの精神

 デンマークとスウェーデンの間にある島、ボーンホルム島。陶芸をはじめ、多くのクラフツマンが移り住み、そこで自らの自己表現やものづくりに勤しむ場所として知られ、近隣のデンマークやスウェーデンはもちろんのこと、ドイツやポーランドから船でこの島に渡ってくる人も多く、夏はバカンスを楽しむ人で島は賑わうそうだ。

 朝晩はまだ肌寒く油断をすると風邪を引きかねない5月の時期に、年に一度のペースで僕はこの島に滞在する。島の様子やそこで暮らす人に様々なインタビューをしてみると、活躍するジャンルが異なっても共通する精神は「WORK TOGETHER」だといえるだろう。

 この島に足繁く通うきっかけを作ってくれたのがOh Oakという陶器ブランドを立ち上げたセラミックアーティストのSarah Oakman。ボーンホルム島の自然の色合いやテクスチャーを表現したカップやお皿は、デンマークだけでなく日本でも人気で、その美しさに国境線はない。何を隠そう僕自身がいちファンなのだ。彼女のプロダクトを首都のコペンハーゲンで手にしたその足で現地の郵便局に駆け込み、手元にあったa quiet dayと殴り書きの文字で「会いたい」と手紙を書いて連絡したことが、全てのきっかけだった。

 その甲斐あってか、彼女への取材のためにボーンホルム島に行くことが叶った。Sarahのアトリエの近くの埠頭に佇む一軒のMOLENというレストランでは、彼女の作ったカップやお皿に料理が盛られて提供されていた。オーダーをして料理がサーブされるまでの間にウェイターの一人に「どうしてOh Oakの作品を料理に使っているのか」と疑問に思ったことを聞いてみるとウェイターは「MOLENはボーンホルム島で採れた食材を使っていて、料理でボーンホルム島を表現したいと思っているんだ。だから、料理を盛り付けるお皿なども、ありふれたものではなくて、ローカルのものを使うべきだと思うんだ。」と教えてくれた。料理と陶器でジャンルは異なるが、伝えていきたい想いや価値は共通するものがあり、お互いが補完し合いながら価値を見出していく。むやみやたらに大きく勝負せずに、まず自分の伝えていきたい価値に対してしっかりと向き合い続けていく。そして、それぞれの出来ることを持ち寄って新たな価値を作っていくこの「WORK TOGETHER」の精神を目の当たりにし、不思議と心が温まるような気持ちになった。

 この島には13世紀頃に作られたHammershusという古城がある。現在では崩れかかった岩と石と少しばかりの城の面影が残るだけだ。18世紀にこの島に移り住んだ人たちのために古城で使っていた石を分け与えて家を作らせ、街を創ったという逸話もある。自分たちが置かれている状況をより良くするために、それぞれが持っているものを皆に分け与えていく考え方が現代まで受け継がれているのだろう。

 誰かと何かをする時の姿勢で今、欠けてしまっているのはもしかすると、とても古いけれど僕たちにとっては新しい考え方「WORK TOGETHER」なのかもしれない。

<連載記事一覧>

Episode 1:モノから広がった世界(2020年1月6日配信)
Episode 2:ボーンホルムと、色と形(2020年1月13日配信)
Episode 3:Way of return to the nature(2020年1月20日配信)
Episode 4 : 地産地消の循環経済(2020年1月27日配信)
Episode 5 : WORK TOGETHERの精神(2020年2月3日配信)
Episode 6 : WORK TOGETHER(2020年2月10日配信)

投稿順 新着順