Mentality of Bornholm - Episode 7 - Craft for Sustainability

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「Oh OakのSarahの友達だろ?よくInstagramを見ているぞ!」いつかのデンマークの首都コペンハーゲンで開催されたクリスマスマーケットでそう声をかけられたことからWilliamとAnnelieと交流が始まった。そして今、デンマークのボーンホルム島の二人の家で、フルーツを食べながらくつろいでいるのだから、世界はとても広いようでいて、とてもスモールワールドなんだと、感じざるを得ない。さて二人はどんな想いで、ものづくりをして、どんな未来を考えているのだろうか。

 

- Diameter 34について教えてもらえる?
 Diameter 34は、スウェーデンのデザイナーのAnnelie Grimwade OlofssonとイギリスのデザイナーのGeorge William Bellのコラボレーションからなるユニットだよ。そのデザインプロセスは、真の素材へのアプローチ、そしてシンプルな幾何学的なフォルムを組み合わせることで、永続性にフォーカスしているんだ。ハンドクラフトへの情熱は、クラシックと現代の「美」のバランスを明らかにしているね。手を使った長年の実践を基に、ガラスや陶器のデザインプロセスを通じた伝統的なハンドクラフトの知識を継承しようとしているんだ。私たちのモチベーションは、スカンジナビアの環境で誠実なデザインとクオリティにフォーカスして、ローカルで作られた普段使いのモノを生産していくというシンプルな希望から生まれているんだ。

- いつ頃からクラフトやモノを作ることに興味を持ったの?
 二人とも、まだ小さいころから何かをクリエイトすることに駆り立てられていたと思うんだ。手で真っ新な素材から三次元のモノを形作ることが出来るというアイデア、そしてそれらのコンセプトに触れたり、それを保持したり、使えるという考えは、いつも魔法のように感じられたんだ。

- どうしてボーンホルム島でクラフトを学ぼうと思ったの?
 KADK(デンマーク王立美術院ボーンホルム校)は、特別な場所なんだ。それは自分が選択した素材を用いて、スタジオで製作に費やした時間、日数、年月の積み重ねで構築した実践に紐づく知識を大切にしているヨーロッパの学校の一つだからね。理論的な知識と物質的な知識が並列で構築されるべきであるという考えは、残念なことに、実際、多くのデザイン教育の予算や時代の本流からは、より遠ざかりつつある概念なんだよ。ボーンホルム島は、自然の美しさとその繁栄とお互いを支え合うアーティストコミュニティの両方の側面において、無限のインスピレーションの源泉なんだ。

 

 

- どうして陶器とガラスを作ろうと思ったの?
 陶器とガラスの個性的な素材への「愛」からそれらを創造しようという主な動機が生まれていると思うんだ。何年もの間、素材に囲まれて「手」で感じている時間を過ごすと、素材の個性やそれに傾けている自分の「愛」が分かるようになるんだ。とても個人的なレベルでね。だから、私たちのプロダクトでは、陶器とガラスの素材の本質を表現するようなデザインプラクティスと機能性を組み合わせるようにしているよ。

 

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- Please let me know about Diameter 34.
Diameter 34 is a collaboration between designers Annelie Grimwade Olofsson and George William Bell. Their design process combines a focus of permanency, a truth to materials approach and simple geometrical forms. Their passion for handcrafted design objects defines the fine balance of classical and contemporary beauty. With years of hands on experience with their materials, Glass and Ceramics they strive to maintain traditional handcraft knowledge through a design process. Our motivation comes from the simple desire to produce local manufactured everyday objects with an honest design and focus on quality in a Scandinavian setting.

- When were you interested in Craft and create something?
I think that from a young age both of us felt the urge to create. The idea that the hand can sculpt three dimensional form from raw material, turning idea or concept into something that can be touched, held or even used has always felt quite magical.

- Why did you start to study about Craft at Bornholm?
KADK Bornholm is a special place as it is one of the only schools in Europe which continues to value the tactile material knowledge which can only be built up through hours, days and months of time spent working in the studio, within your chosen material.

 

 

The idea that theoretical and material knowledge should be built up side by side, is unfortunately a concept that has slipped further and further from the agendas, and indeed the budgets of many design educations. As well as this the Island of Bornholm is a limitless source of inspiration both in terms of natural beauty as well as its thriving and supportive artistic community.

- Why did you create glassware and ceramic?
I think the main drive to create in ceramics and glass comes from a love of the individual character of our materials. When you spend years with your hands within a material you come to know it on a very personal level. Within our products we try to combine functionality with a design practice that shows something of the innate material character of ceramics and glass.

 

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- 誰のためにプロダクトを作っているの?
 私たちは、大量生産された製品で溢れかえっているこの世の中で、ハンドメイドの価値を見出し続けている人のために作っているんだ。デザインの「美」と「機能性」を組み合わせることを通して、消費者が長きに渡って大切にしているプロダクトを創り出すことが出来るようにと願っているよ。

 

二人が在籍しているKADK(デンマーク王立芸術学院ボーンホルム校)には、大きく分けて陶器とガラスのコースに分かれている。二つのコースに共通しているのが、素材に対して探求するスピリットを持ち合わせていることだ。素材に囲まれて「手」で感じている時間を過ごすと、素材の「個性」や素材に対する「愛」を感じられるようになると彼らは言う。

 

- モノを作っている時にどんなことを考えているの?
 私たちは、自分たちの仕事の中に機能性、実質性(物事の本質的なこと)、そしてユーモアの要素を取り入れようとしているね。しばしばアイデアは、私たちの興味やそれを惹きつけているものをじっくりと観察することから始まるんだ。そしてもちろん、サスティナブルという一般的なアプローチがあるよね。驚くべきデザインの機能や価値、本質的な部分によって、より責任ある方法で私たちが行なうことを実現しようとしているんだ。現在、ボーンホルム島で集めた素材や島内の廃棄された素材を利用して、新しいプロダクトラインを開発中なんだよ。

- そういったモノづくりの中に、二人のオリジナリティはどこにあるの?
 私たちの多くの仕事は、他のモノと似ているところもあるけれど、独特なレベルを保つようにデザインされているんだ。このようなモノづくりの精神が分かる例としては、「Diameter 7.5」というカップがあるね。このカップは、吹きガラスのプロセスの中の動き、熱、動かし方によって形作られる各々のパターンの全てが、ユニークで反復不可能なんだよ。寸法と厚さに関して言えば、厳密にコントロールできるんだけどね。気泡を独自の寸法でデザイン出来る新しい花瓶の「Inflate」でも同じことが起こるね。陶器のプロダクトにも同様のアプローチをするんだ。釉薬を使ってそれぞれのカップにユニークなトーンを含むような方法でね。

 

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- Who do you create for? Do you have target when you create something?
We create for anyone who continues to see the value of the handmade in a world flooded with mass manufactured products. We hope that through a combination of design aesthetics and functionality we can create products which the consumer will value and use for years to come.

- What are you thinking about when you craft something?
We try to incorporate functionality, materiality and also an element of humour within our work. Often an idea begins by seeing something within our material which interests or surprises us. And of course there is a general approach to sustainability, trying to make what we do in a more responsible way, either by surprising design functions and values or by materiality. We are currently developing a new line of work using materials collected on Bornholm as well of waste materials from industries on the island.

 

 

- Where do you get inspired when you craft something?
Inspiration comes from many sources from nature, design history, even the reinterpretation of historical artefacts, but fundamentally whatever the source inspiration, there is always an element of materiality within the work.

 

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- では、ものづくりのインスピレーションはどこからやってくるの?
 インスピレーションは、自然、デザインの歴史、歴史的なアートの事実の再解釈まで、多くのソースから受けているけれど、基本的にインスピレーションの源が何であれ、プロダクトは常に実質性の要素があるね。

- クラフトや自分たちの活動でどんなことを伝えたい?
 サスティナビリティって、新しい素材を開発することだけじゃないんだよ。(間違いなくサスティナビリティにとって、素材が重要な役割を果たすかもしれないけれど。) 私たちの個人的な見解は、伝統的なクラフトがよりサスティナブルな未来の文脈と交差する可能性もあるということなんだ。品質やデザインコンセプトの強さ、生産量の前に考える独自性にフォーカスすることだったりでね。私たちは、使い捨ての経済のサイクルを崩して、世の中のみんなが何度も何度も使ったりディスプレイしたいと思えるオブジェクトやプロダクトを作りたいと考えているんだ。

- 未来のクラフトとかモノづくりってどんな感じなのだろうね。どんなことをイメージしている?
 伝統的な素材やクラフトプロセスへの回帰が、世代を超えて構築された作り手の実体的な知識を持ち続けることが私たちの希望だね。サスティナブルという原則がデザインプロセスの中で未来を示すことの助けになることも同様にね。たぶんその希望は、消費に対する態度が、より意識の高いものにシフトして、容易に人々が物事の背景のストーリーを聞けるようになることだろうね。

 

  

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- Where is your craft originality?
Much of our work is designed in a way which each item, although similar to the others, retains a level of uniqueness. An example of this ethos is our “Diameter 7.5” cup in which due to the motion, heat and movement within the glassblowing process each pattern formed will be wholly unique and unrepeatable while the dimensions and thickness of each cup can be tightly controlled. The same goes for our new vase“Inflate” where we blow the glass into a form which allows the bubble to set its own dimensions. We also approach our ceramic work in a similar way, using glaze in a way which results in each cup containing unique tones.

- What do you want to tell to everyone by your crafts and activities?
Sustainability may not be just about developing new materials (although arguably this may play an important role). Our personal view is that there is also the possibility for traditional craft materials to play a part in a more sustainable future. With a focus on quality and strength of design concept, and originality coming before production volumes. We hope to break the cycle of a throwaway economy, and instead make objects which people will want to hold on to, display and use time and time again.

- How do you dream about Craft and creating something for the future?
It is our hope that a return to traditional materials and craft processes may help preserve the tactile knowledge which has been built up over generations of makers, as well as point to a future in which sustainable principles stand at the core of the design process. Perhaps one hope would be that the attitude towards consumption shifted in to a more aware one, and one where people are more apt to listen to the story behind objects.

 

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- 愛ってどんなことだと思う?
 まあ、デザインに関してならともかく、それは必ずしも簡単な答えではないよ。私たちは、自分たちがしていることが大好きで、素材や仕事を創造するプロセスへの愛は完成したオブジェクトの中に見つけることが出来ると願っているよ。

 そうだねでも、愛は人生のとても多くのレベルをカバーするトピックだよね。世界のための愛、友人のための愛、自然のための愛、謙虚さ、怒り、情熱、平和などね。恐らく、愛は一般的に話されていない話題だから、これはとてもシークレットなもので、タブーになることもある。だから扱いにくい「問い」だよね。私たちにとっての愛は、たぶん自分たちの周りに流れるエネルギーの流れ、全てだと思うな。その結果、自分自身に焦点を当てるのではなく、世界に対する謙虚な気づきと感謝の気持ちの広がりによって、寛大になっていくんだろうね。私たちが愛を持ってクラフトにアプローチすることは、私たちの自然に恩返しする方法なんだよ。

- 暮らしをより良くするアイデアはある?
 私たちは、製造された各プロダクトを、自分が使ったり楽しみのためにそれを製造しているか、親密な家族のようなプロダクトとして同じ愛や尊敬を与えられているかどうか、現在のデザインと製造の世界がどう違うのだろうか、ということを思っているんだ。それらは大きな変化の可能性を秘めた小さなアイデアなんだろうね。デザインは日々の生活に深い影響を与えているから、日常生活とデザインは分けることが出来ない。そして、人間が世界というものを知覚する方法は、五感を通じたものなんだ。これらの感覚は、私たちの周りにある「情報」なんだよ。これらのことを念頭において、私たちは、日々の生活の中で人と触れ合い、日々のルーティーンから解放されて、その瞬間を感謝する手助けをするという方法で、仕事やデザインのアプローチをしようとするんだ。

 今、テクノロジーが浸透している「非現実」の時代に生きているよね。だから手触り感が失われている時代の解決策の一つなんだよ。そういったことを考えて、オブジェクトを持っている人に手触り感やその体験、それらの意識を伝える方法としてクラフトを考えているんだよ。

- 二人はこれからどんな世の中になってほしいと思っている?
 責任のある製作や実践を行ない、高品質で思いやりのある伝統的なプロセスに根ざしたオブジェクトのデザインやその製作を通じて、消費者の大量消費の問題に少しでも取り組むことが私たちの希望かな。明確には消費社会をどのように解消すればいいのか分からないけれど、私たちがしていることが、消費者の消費意識をより慎重に選択し始めることに影響を与えられればと願っているよ。

 将来的には、無責任な人間の大量消費のために動物を傷つけた素材ではなく、責任があり環境にやさしい産業になることは明らかなのだけれど。

 

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- What does “Love” mean for you?
Well that is not always an easy question to answer, but taken in terms of design. We love what we do, and we hope that the love for our materials and the process of creating our work can be seen within the finished objects.

But love is a topic which also covers so many levels of life. Love for the world, for friends, for nature, humbleness, anger, passion, peace. Perhaps it is a tricky question because love is a topic which isn't generally spoken about, this makes it very secret and tabu. Love for us is perhaps the stream of energy that flows through everything surrounding us. The result of which is a humble awareness and appreciation towards the world, instead of focusing on yourself, making it about generosity and unselfishness. When we approach our craft with love, it is our way of giving back to nature.

- Please let me know about a small idea that improves daily life.
We wonder how different the current design and manufacturing world would be if each object produced was given the same love and respect as if the maker where producing it for their own use and enjoyment or that of their close family. A small idea with possibly huge potential for change. Daily life and design the two are impossible to separate, as design has a profound impact on our daily lives. The way humans perceive the world is through our five senses, these senses inform us about our surroundings. Baring this in mind we try to approach our design work in a way in which it might touch humans in their daily life, breaking the everyday continuum, and helping to foster an appreciation of the moment. We are living in an age of “non-reality”where our lives are flooded with technologies, some of the time saving solutions we now rely on, depriving humans of tactile encounters. We try to keep this in mind and see our craft as a way to inform design and help to bring awareness and tactile experiences back to the keeper of the objects.

- Please let me know about your hope for society.
It is our hope that through responsible making practices we can in some small way help to tackle the problem of mass over consumption, through the design and production of objects which are rooted in traditional practices, of a high quality and are made in a thoughtful and considerate way.

   We obviously don't know how to dissolve consumer society, but we hope that what we do will inspire others to start choosing more carefully about how they consume. For the future, we obviously hope for an industry that is responsible and environmentally friendly, no more materials that hurt animals due to irresponsible human mass consumption.

  

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<連載記事一覧>

Episode 1:モノから広がった世界(2020年1月6日配信)
Episode 2:ボーンホルムと、色と形(2020年1月13日配信)
Episode 3:Way of return to the nature(2020年1月20日配信)
Episode 4 : 地産地消の循環経済(2020年1月27日配信)
Episode 5 : WORK TOGETHERの精神(2020年2月3日配信)
Episode 6 : WORK TOGETHER(2020年2月10日配信)
Episode 7 : Craft for Sustainability(2020年2月17日配信)
Episode 8 : Persiaを追い求めて(2020年2月24日配信
Episode 9 : Fermented Entrepreneurship(2020年3月2日配信)

 

 


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