NORDIC CRAFT

magazine prologue

 「クラフトとは、まるで一本の糸のようだ。」

 今回ノルウェーのファッションブランドHAiKw/のインタビューを終えた後にデザイナーのHaraldと一緒に、同じビルに入居する織り機の置いてあるワークショップを訪ねた。この機械に巻き付いた糸を見て、ふと、こんなことを思った。

 それはこの糸が何色であるかということから始まり、ある時はその色や素材と違うモノ同士を結びつけるための糸となり、またある時は別の糸と絡み合い、糸同士の状態では想像も出来なかったものを作る。その集合体として、着飾るための衣服になったりと、人々の喜びや楽しみまでをも作ってしまう。けれどこれも全て元に戻すと、ただの一本の糸に違いないのだ。

 今回はNORDIC CRAFTをテーマにクラフツマンやクリエイター、デザイナーなどを中心に話を聞いてまとめている。しかし話を読み進めてみると、それはどれも個人の興味・関心や探求心をベースにした、とても個人的なことからスタートしていることが分かることだろう。これはきっと何か、コトを起こす時の唯一の手がかりになるのではないだろうか。この一本の糸ともいえる個人的な興味からどのように異なる人たちや社会と繋げ、一つの作品として編み上げていくのだろうか。そして出来上がった作品たちで、一体何を伝えていきたいのだろうか。このクラフトにおける出発点を念頭に「Storytelling」、「Collective」、「Nordic Color」、「Personality」、「Human Touch」の5つのパートに分けてアート、ファッション、マテリアル、キュレーション、デコレーション、遊びのデザイン、灯り、キャリア、起業、時についてコンテンツを編んでいる。言うならば、このマガジンもクラフト的な行為の一つだろう。

 きっと、この一冊を読み終わった後には、何かを作りたくなったり、何か新しいことを始めたくなるに違いない。けれど、一本だと、ただの糸だということを決して忘れないでいて欲しい。

(a quiet day Season7 prologueより)